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ハンズオン・ミニレクチャー

申込期間
9月28日月曜日から11月20日まで
定員に達し次第締め切らせていただきます。

申込みはこちらから 

【ハンズオン1】
日 時:11月29日日曜日 9:00~12:00
テーマ:CAS-kit,LAS-kitによる上顎洞底挙上術(模型を用いた実習)
(実習14:00は二人一組で行います)
講 師:明海大学歯学部病態診断治療学講座口腔顎顔面外科学分野1
嶋田 淳 参加費:20000円 (実習器具を含む)
定 員:30名(一人で申し込み可)


 サイナスリフトは上顎臼歯部へのインプラント埋入に際して、洞底までの骨高径が不足する症例に適用される。本術式を必要とする症例は多い。術式はアプローチ法によって、インプラント埋入時のインプラント窩から歯槽頂を経由して洞底粘膜の剥離挙上と移植・インプラント埋入を同時に行う歯槽頂アプローチ法(いわゆるソケットリフトやオステオトームテクニックと呼ばれる方法)と、上顎洞前壁に骨開窓を行い、洞底粘膜を剥離挙上して洞底骨と挙上上顎洞粘膜の間に作成した移植床に自家骨ないし骨補填材を移植して、同時あるいは待時にインプラントを植立する開窓法(ラテラルアプローチ)とがある。インプラントの残存率の統計学的結果から、歯槽頂アプローチは既存上顎洞底骨高径が5㎜以上の症例に適しており、洞骨高径が4㎜以下の症例にはラテラルアプローチが適用される。

 いずれの方法でもサイナスリフトによって術後もたらされる最も困難な併発症は上顎洞炎であり、上顎洞底挙上術の刺激によって本来備わっていたosteomeatus complex部の狭小から自然孔・篩骨ロートが閉塞して生じることもあるが、最大の要因は上顎洞粘膜を手術時に損傷させて移植材が固有上顎洞内に漏出したことからしつこい感染が生じることである。そのためCTによる術前の上顎洞・篩骨洞・前頭洞などの副鼻腔炎の有無の確認は必須である。また上顎洞粘膜を損傷させにくい種々の術式と機材が考案されている。
 LAS-kitは大径の半球状バーに深度ストッパーを装着して上顎洞前壁の骨開窓を行う器具セットである。洞粘膜は損傷しにくくかつ開洞の速度も速い。
 CAS-kitは歯槽頂アプローチ用の器具セットであるが、洞底粘膜を損傷しにくいドリルをストッパー付きで使用し、さらに水圧で上顎洞底粘膜を広範囲に剥離して、単なるオステオトーム法によるよりも挙上量を増大させることができる。
 本ハンズオンレクチャーでは、Osstem Japanの協力を得て、CAS-kit,LAS-kitによる上顎洞底挙上術をマスターいただく。

【ハンズオン2】
日 時:11月29日日曜日 14:00~15:30
テーマ:即時荷重を安全に行うための留意点と下顎無歯顎インプラント埋入実習 (実習は二人一組で行います)
講 師:医療法人社団UC
東京医科歯科大学歯学部附属病院インプラント治療部
菅井 敏郎
参加費:10000円 (実習器具を含む)
定 員:20名(一人で申し込み可)

  インプラントが骨結合を獲得するための要因のひとつとして「インプラントの受ける負荷状況」が重要とされ、インプラント埋入後の一定期間はインプラントを骨内に安静に保ち負荷を加えないことが原則とされてきた。そのため,かつてはインプラント埋入後に下顎で約3ヶ月、上顎で約6ヶ月の治癒期間(安静期間)が推奨されていた。
 その後、顎口腔機能の早期回復を求める患者からの要望、ならびにインプラントデザインや表面性状の改良等によって、早期荷重や即時荷重といった治療期間の短縮化が試みられてきた。そして、インプラント埋入後の治癒期間を2ヶ月ほどに短縮しても臨床成績に差がないことや、インプラント埋入直後に上部構造を装着する即時荷重でも高い臨床成績が報告されてきている。
 顎口腔機能の早期回復を求める患者のQOLを考慮すれば、治療期間を短縮して可及的早期に上部構造を装着することが望ましい。しかしながら、組織の治癒を考慮したこれまでの原則を破るには、その科学的根拠と安全性を明かにする必要がある。
 今回のハンズオンでは、先ず、即時荷重を行うために必要な知識を整理し、即時荷重を安全に行うための原則と留意点を解説する。そのうえで、All-on-4 による即時荷重修復を想定して、下顎無歯顎模型を用い、オトガイ孔間への4本のインプラント埋入実習と角度付きアバットメントを含めたアバットメント連結実習を行う予定である。

【ミニレクチャー】
日 時:11月28日土曜日 15:30~16:45
テーマ:サイナスリフトの長期経過症例から学ぶ
講 師:医療法人社団UC
東京医科歯科大学歯学部附属病院インプラント治療部
菅井 敏郎
参加費:3000円 
定 員:150名

 骨結合型インプラントの普及により、我々の日常臨床において予知性の高いインプラント治療が行われるようになった。しかしながらこのインプラントは、上顎臼歯部において適応の困難なことが知られている。これは,主に上顎洞の存在によりインプラントを埋入する部位の骨高径が不足することによる。
 上顎臼歯部における解剖学的制約が上顎洞であることから。BoyneとJamesはCaldwell-Luc法に準じて上顎洞前壁に骨窓を設け上顎洞粘膜を上顎洞底骨面より剥離挙上して洞底部に自家骨を移植する方法の論文を1980年に報告した。演者がUCLAメディカルセンターにおいてサイナスリフトに初めて携わったのは、今から約四半世紀前の1989年のことである。その後,移植材料や手術器具に多少の変遷がみられたものの、基本的な術式に大きな変化はない。

 Aghaloo, Moyらは,2006年AOコンセンサス議事録にて,「サイナスリフト部位に埋入されたインプラントの長期残存率は,移植材料に関わらず良好な結果が得られている」「サイナスフロアエレベーションは,インプラント治療のための骨増生法の中で最も予知性の高い手法の一つである」と述べている.演者の約四半世紀に渡る経験でも,移植材料の種類に関わらずサイナスリフト部位に埋入されたインプラントの残存率は高い.しかしながら,四半世紀の経験の中でサイナスリフトのトラブルもいくつか経験している.
 今回のミニレクチャーでは,特にトラブルに焦点を当て,トラブルを生じやすい症例とその対策に関して解説するとともに,演者の長期経過症例を供覧しながらサイナスリフトを再考してみたい.


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神奈川県横須賀市稲岡町82
神奈川歯科大学大学院顎顔面外科学講座
TEL:046-822-8895  FAX:046-822-8888
E-Mail:jamfi19@@kdu.ac.jp
準備委員長:岩渕博史